ある主婦の徒然草

本と映画が好きな主婦の備忘録

満足な映画3作

映画観ました。満足満足~♪

オリラジのパーフェクトヒューマンじゃないすよ(笑)
イヴ・サンローランの映画で主役やった、美男の彼がまたしても主役。
わたくしの美男の基準はパーツじゃなくて全体のバランスなんで、正直イケメンだとしても好みじゃ…、
それはどうでもよくて。

作家志望のフリーター、マチューはなんども自作を編集社に送るがボツ!ボツ!の連続。
ある日仕事先で孤独死した老人の過去の戦争の日誌を見つけ、それをもとに作品を仕上げたらなんとベストセラーに!!
ところがもともと文章力はあっても、構成力がいまいちだったから、次作がなかなか進まない。
その上、有名になってからゲットした高嶺の花な彼女には、彼を胡散臭く感じている男友達がいた。
マチューは、しだいに追い詰められていく…。

イケメンなんだろうけど、頼りないし、見るからに心身ともに弱そうな彼。いちいちビビりまくりな彼には、残念ながら完全犯罪は縁がなさそうに思います。初めから後半までとにかくマチューがおバカをやらかさないか観る側がヒヤヒヤ。そうゆう意味でスリラーね(笑)
でもラストで゛パーフェクト゛のいみがわかります。

お次はナチス絡み。
第二次世界対戦はドイツにとっていろんな意味で傷になってます。
被害に遭ったユダヤ人を始め、同性愛者、反ナチ主義者など。
戦後になってはじめて、自分たちのしてきたことを目の当たりにしたドイツ人にとっても、そのあまりにも残虐性の強さに戸惑っていたよう。
アイヒマンといえば、わたくしは実験を連想します。
人間の残虐性を証明するための実験。
被験者は何段階もの電圧装置のボタンを前に、後方からの指示に従って徐々に電圧を上げてボタンをただ押せば良いという物。
ただし、自分の押すボタンの先には自身と同じ血の通った人間がいますよと。
その通電される人間の叫び声も当然聞こえてます。さて、もしあなたがボタンを押す係だったとして、途中で止めることができるでしょうか・・・。
という意地の悪い実験です。みな、善良で常識的な人間なのに実際は全員が躊躇いながらも、言われたとおりに最大の電圧のボタンを押したという。
この立場(後方で支持をする人物→ヒットラー、被験者→アイヒマン・・ナチの司令官)という縮図でアイヒマンの実験というらしい。

この映画はその実験についてでは無く、戦後南米に逃れたとされるアイヒマンを裁判に引きずり出し、しかるべき責任(戦中にユダヤ人虐殺に携わったという)を取らせるというもの。
検事フリッツバウワーは戦後西ドイツの主要都市フランクフルトで検事長として、過去の過ちを追及すべく奮闘していた。
彼の目下の課題は、戦中のドイツ人のいたしたことをこの先もドイツ人自身が目を背けずに直視する事。
反省なんて生半可なものじゃあありゃせん。

私が留学していたベルリンには、実際にベルリンの壁の跡が道路に埋め込まれた形で、文字通り刻み込まれてました。
道路の、もしくは歩道の真ん中で、観光者はかつての西ドイツと東ドイツをまたいで記念撮影できるんです。
そのときは跨ぎつつ、感動したり、ピースなんかして写真を撮ったりするんだけど、映画「トンネル」なんか観たあとでは自分のすぐ後ろにあるブランデンブルク門(ベルリンの中央部にある凱旋門)付近で壁越えをしようとして失敗し、容赦なく撃ち殺された人がいたわけで、とてもルンルンで記念撮影する気になれません。しかもそこで今、移動のアイスクリームやさんなんかあるから、その温度差に思わず視界が歪みそうになったりして。

いま現代に至るまで、人類は数え切れないほどの戦いで数え切れないほどの命を奪い合って来たわけだ。
ドイツの犯した事は、けっして他人事出なく、そこにいたのが日本人だったら、似た様な国民性から同じ過ちを犯していたと私は思ってしまう。
アイヒマンという存在は、決して特別なカリスマ性があるわけでもなく、特殊な能力があるわけでもない、普通の人間だった。
その彼が犯した大罪は、彼だからではなく、彼の様な「ごく普通のありふれた人間だから」起こりえたものだとしたら・・。
これこそ真のホラーのように感じてしまう。

フリッツバウワーの鋼の様な精神は、実は不安と恐怖を秘めた実に人間らしいものであることが良く伝わってきた。
ドイツ人一人一人の感性までは、のぞき観ることはできないけど、ベルリン中の道路のいたる場所で埋め込まれたユダヤ人の名前のブロックなどを観ていると、少なくともバウワーの「ドイツ人自身のしたことに目をそらさない」は浸透しているように思う。いや願いたい。

最後もナチス関連。

戦後のアメリカ。
とある老人ホームに最愛の妻を亡くした90歳のゼヴという老人がいた。
彼は認知症を患っており、妻を亡くしてからその症状の悪化も加速し始めていた。
彼にはホームにマックスという友人がおり、カラダの自由が効かないマックスからゼヴはある使命を受けていた。
それは、
「自分たちがアウシュビッツにいる間、家族を殺したドイツ人”オットーバールッシュ”が”ルディーコランダー”として生きながらえている。そいつを見つけて殺して家族の敵を取る」
という物だった。
同姓同名が4人いるなか、マックスはセヴに頼んで一人一人確認していく。
人違いでなかなか収穫が得られないが、ついに4人目の”ルディー”に会いに行く。
彼の口から、過去の懺悔を引きだそうとしたとき、思わぬ事実を知ることとなる。

すごく良くできたストーリーだと思った。
観ていて、最初から全く気がそれること無く夢中になってしまった。

復讐劇だから、緊迫したものかと思いきや、寝ると記憶がリセットされちゃうおじいさまの容量の悪さは、もう観ていていたたまれないから思わず復讐すら「お手伝いしましょうか?」って言いたくなっちゃう(笑)
セヴは、基本的に忘れていることが多いから、マックスの手紙に従って動いて居る感じ。
だから、相手を威嚇するときも、鞄からプルプルする手でゆっくりと拳銃を取り出すところは、なんだか仁丹でも取り出す様なのどかな絵で思わず笑ってしまった。
しかし話は中盤から徐々にシリアス度合いが高まって、最後の方は観ていて圧倒された。

戦争にしろ、人間ってなんて罪深い生き物なんだろう・・・。
がらにもなく、そんな事を思ってしまった。

人が生きるって?死ぬって?人が人を痛めつける理由はなに?
保身なの?家族や大切な人を守るため?
私たちはいったい何者で、なんのためにこうして生きているのでしょうね・・・。

いろいろな事を考えさせながら、人が生きたり死んでしまったり、因果なことについて頭と心で考えながら推理できるミステリーってすごいって思った。
人間の生き様その物が、そもそも深いミステリーだったりしますし?