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ある主婦の徒然草

図書館大好き主婦の読書メモと日々の記録

大切なものは目に見えない

星の王子さまの、あのワンフレーズが浮かんでくる…。

透明カメレオン

透明カメレオン

道尾さんの作品を読むたびに、ワタクシ思います。
゛この人絶対優しい人!゛と。
小説とかには書き手の人柄が如実に出てくるもんだと思うんです。例えば筆跡みたいに。
ワタクシ、これを勝手に文跡と呼んでます(勝手な造語だよ)。

文跡は筆跡で言うところの、止め・はね・払いに当たる部分が、ストーリーの構成や分岐点になるんじゃないでしょうか。
そして、エンディングの味の出し方も著者の持ち味が一番表れる重要なところ。
道尾さんはこうした収束に向かう部分で、その優しさと品の良さが炸裂するタイプかもしれない。

ワタクシ、不覚にも涙しますた( TДT)

あぁ、この本の中はなんと優しい世界なんだ✨✨
そして、この世はなんと残酷なんだろうか…

道尾さんといえば、『今夜はナゾトレ』のレギュラー。そして、道尾さんファンのワタクシは必ず観ております(笑)
道尾さんに負けないよう、かなり気合いを入れて参戦するんだけど、道尾氏の正解率の低さが…😱❗
まあ、それが見物なんだけどね。
毎回微笑ましく楽しんでます😃

今回透明カメレオンを読んで、まず思ったのは、あの番組の道尾さんと、イケボイス(いわゆる美声)をお持ちの主人公、桐畑恭太郎が重なってるということ。
見た目ではなくて(容姿についてはひとそれぞれ描く姿が違うから…ね笑)、フンワリしたかんじが。
あと、めがねかけてるとことか。

タイトルの、透明カメレオンの゛透明゛の部分が作品中の鍵かもしれませんな。
ラジオパーソナリティーが主人公で、物語の大切な部分がラジオ番組で語られるというあたりも、はっきりとした色彩を持たない、それこそ目に見えない電波によるラジオ放送と、透明なブースで不特定多数のリスナーに向けてメッセージを発信する主人公そのものを表している。

この透明カメレオンは、道尾さん自身の幼少期に実際友人との間にあった出来ごとらしく、想像力豊かなタイプは一度はやったことある遊びかも。

見えないお友だちに通じるアレ。

わたしたちはだれだって、そこに無いものであっても在ると強く願えば存在させることができる。
部屋の隅に、天井との境目に、コンセント口の横に、透明色したカメレオンが゛居ると思えば゛いるのだ。見たいと思って目を凝らし、心のスクリーンに映し出せば。

ラジオパーソナリティーの恭太郎は、毎晩その美声で魅力的な面白話を番組でします。
その話は、行きつけのバー゛if゛の常連さん達の過去の話なんだけど、ここに恭太郎マジックが隠されている(道尾トリックともいう)。
そして全て読み終えたとき、バーの名前がなぜ゛if゛なのかも腑に落ちますよ😏☝

印象的なのは、作中にチョクチョク出てくる恭太郎がちびた赤鉛筆にエナメル線を巻き付ける動作。
これは手製のトランジスタラジオのアンテナ軸に使うためらしいけど、乱れた心の軌道修正にも役立つらしく、恭太郎がなにかの考え事するとき必ずやっている。
なぜ赤鉛筆なのかというと、ラジオパーソナリティーだからかな。
何のためにかは抜きにして、みんな心のなかで鉛筆にエナメル線巻き付けてるんじゃないかと思う。

店の名前の゛if゛じゃないけど、
「もし、あの時あんなことしてなければ、今わたしはこんなになってなかったはず…。」

って、頭のなかで゛もしも…゛の思考がエナメル線のようにグルグル巻きついて…。

でも、恭太郎はいう。
「僕ね、ラジオを作ってるときとか、それが苦労してつかまえた電波が音になってくれたときとか、いつも思うんだ。完璧じゃないって、いいなって。(中略)弱かったり不完全だったりするのはいいことなんだっていう、その事実の生き証人になってやるつもり」

そう。バファリンの半分が優しさで出来ているように、この世の中の半分は優しさだ。
半分の強さと半分の優しさが現実をつくっているのだと思えば、強く踏ん張らなきゃならないところと、できなくて優しい嘘の世界にひとまず逃げて休んでいることも、またそれぞれの人生なんだと思える。

ゆ、え、の、
ラジオ番組、桐畑恭太郎の『1UPライフ』なんだな(笑)
1UPで、うっかりCMの瑛太さん演じる上田を想像してまうまぐもでした😜