ある主婦の徒然草

図書館大好き主婦の読書メモと日々の記録

最近知らない子どもが多いですな。

あーちゃん、キミって子はまったく…。

 

209号室には知らない子供がいる (角川書店単行本)

209号室には知らない子供がいる (角川書店単行本)

 

 表紙のボクがなんか怖い。
呪怨のトッシーじゃないけど、似たようなものを感じますわ。

それにしても最近は、高層マンションでかつ団地の様集合住宅で、中庭が公園みたいになってて、、とかいう場所があるみたいですね。
そうなると、そこに出入りする子どものうち、誰がマンションの子で誰がよその子かわかりにくいとか・・・。
しかも、昔に比べて誘拐とか疑われたくないからって、気安く預かるのも少なくなっているらしく。ともすると、なんだかよくわからない子どもと自分のこが交流していることもあるってわけで、それもなんだかゾゾッとする。

 

マンション”サンクレール”の住人5人が遭遇する摩訶不思議体験の物語。
5人それぞれの視点から5つの物語構成になってます。

初っぱなから、主婦のワタクシに親近感を抱かせる場面(笑)
専業主婦の菜穂は完璧主義なおかあたま。
3歳の息子の一挙手一投足にガミガミドヤドヤいううるさ方。
それをいつも見ている夫は「ガミガミおばさんはイヤですね~」なんてほざきながら、
一向に息子のしつけや家事など手伝ってくれない。
さらに、息子が”あーちゃん”こと”葵”というお友達を連れて来たら、その子が家に居着いてしまいなんだかもやもや・・。
夫は息子同然に葵君を可愛がり、休日も一日一緒。家族旅行も一緒ってもうなんだか家族みたい・・・。なんだかこれじゃあ、私は3人の母親じゃじゃない・・・。
菜穂は明らかに葵からよからぬモノを感じ取っていた。

 

2人目の亜沙子は既婚で子なしのキャリアウーマン。単身渡米中の夫の母親と絶賛同居中。決して悪い人じゃ無いんだけど・・・でもなんだか自分と波長が合わない。
でも明らかな嫌がらせとかされてないから、はっきり嫌いにもなれずこちらもなんだかもやもや・・・。ある日、義母が”葵”という3歳児を自室に連れ込んでいたのを発見する。

どうやら、ショッピングセンターから連れてきちゃったって云うではないか⁉


げっ!!お義母さん、そ、それって誘拐ちゃいますのん!?(・・;)))
事件とか起こされたらほんと困る。私のキャリアはどうなるの!

子どもの心配じゃないんかい!!

そんな仕事人間なサバサバ女子の亜沙子さんですが、このお義母さま、結構マズいタイプのお人で、見た目綺麗で可愛い美魔女なんだけど、中身がイッテルのなんのって。。
勝手に亜沙子の昔のワンピース着てたり、なにかと亜沙子に注意されると上目遣いで甘えてきたり・・・。想像するだけでこちらもゲンナリ・・・。
そんな亜沙子にさらなる悲劇が起こるわけで-。

 

3人目は、幼い頃の養女に出されたトラウマを抱える千晶。
夫は10歳以上年上で、しかも前妻を病気で失ったばかり。
円満とは言えない寿退社をし、夫の連れ子と息の詰まるような毎日を送る。
ある日、連れ子である息子が”葵”という小さな男の子を連れてくる。
家の中で長い時間楽しそうに遊ぶ2人。
普通は微笑ましいんだろうけど、息子はもう高校生になるという年。
面倒見がいいというにしてはなんだか親密すぎる、というか息子が入れ込んでいる感じ。しかも前妻の仏壇のある和室でしか2人が遊ばないのもなんだかもやもや・・・。

4人目はこの本の題名である、209号室の住人和葉の話。
1つ年下の奈々香のわがままに振り回されっぱなしで辟易している。
彼女には幼少期から何かと煮え湯を飲まされてばかりだったのに、つい最近には婚約者を寝取られ、さらにその婚約者の元カノの嫌がらせを代行するという役目までひきうけていて、ものすごーくもやもや・・・。
こうまでして、デリカシー欠如女である妹を庇うのは、唯一自分を可愛がってくれた祖母の遺言「奈々香は妹なんだから、仲良くするんだよ」が心に深く突き刺さっているから。
そんな彼女の前に”葵”と呼ばれる男の子が現れる。
和葉は極度のチョコレート中毒で、給料の一部を高級チョコレートの費やすほど。
その余った分を葵にくれてやったところ、後日包装紙だけ玄関口に返すのだ。
和葉は、野良猫を餌付けしている様な高揚感に満たされて、それを続けて行く。
しかし、肝心な葵は209号室には入ってこない。なぜでしょうねぇ。

5人目はこのマンションの持ち主の娘、美羽。
離婚歴があって、現在ニート中。
でも、世間のネガティブなイメージのニートではなくて、疲れた心をいやしている療養期間といったところ。
厳しかった母親の影響で、なにごとにもそつなくこなす癖がついていてその性格が生きにくさの原因でもあったりして。
209号室の和葉とは自己啓発セミナーみたいなもので出会って意気投合し、当時引っ越しを考えて居た和葉に、空き部屋である209号室を進めた本人。
実はこの209号室、瑕疵物件ではないのだけど違った意味で”ヤバい”部屋だった。
それを、美羽が一つ一つ調べて明らかにしていきます。

この話に一貫して共通しているのは、”葵”という少年が出現する事と、その章の主人公が何かしらのもやもやを抱いていること。
そして、はじめこそ”座敷童”のような微笑ましいファンタジーなのかと思いきや(イヤイヤ、表紙の感じからそれはないか。。)なかなか人の心の隙間に入り込んで来る侮れないヤツだったりする。

葵が幽霊なのか否かよりも、作者の櫛木さんはこの”人の心の闇につけ込んでくるモノ”の恐怖を書きたかったんじゃないかと思う。
誰にだって、度合いの差こそあれど小さい頃から抱えるトラウマの一つや二つ持ち合わせて居るもの。それを自分の中で消化出来ているかさらに悪化させてしまっているかが問題なんでしょうね。
かなり遠い第3者的視点で見ると、どの登場人物もなんだか因果な独り相撲で苦しんでいる気がしてならないんだけど・・・。
その人の苦しみは、所詮その当人しかわからないってことなのかな。
そうなら、ちょっとさみしいかも。


人間って得てして、自分の見たいものを見たいように見る傾向があるね。

やれ幽霊だお化けだって言ってても、結局は「幽霊の正体見たり枯尾花」だったりする。自分のなかのトラウマや思い込みから来る恐怖心がちいさな葉のさざめきも化け物のたてる音に変えてしまう。

すべて自身の生み出した現象にすぎないのに…。

最後の”忌み箱”の章こそがこの話の根幹を意味していると思います。

ただ、読んでいるうちになんだかデジャ・ビュってくるんだが…

家の怪奇現象と土地の歴史を調べる辺りが、前に映画化されたホラー作品と被ってる気がしなくもなく…

怨念イコール穢れって、やっぱり日本人ならではの感性なのかな😅😅

タイトルだけだと、なんかネガティブな箱?ってかんじだけど、
この”箱”こそが厄災の根源なんでないの?

ってなところで、ネタバレしないうちに終わりにしておきます(汗)

櫛木さんは、前回「避雷針の夏」でも感じたけど、イヤーな人間の書き方がお上手。
”こんなイヤな人本当にいるの~?”って毎回思うけど、櫛木さんの文章読んでいるとこんな腐った人間、結構居るんじゃ無いか。ただ自分の周りには居ないだけで・・・ってつい思ってしまう位(笑)

櫛木さんもイヤミス作家に入るのかな??
だとしても、登場人物のあまりの曲者っぷりに、むしろ自分の人生がすごいついている様に思えて、ストーリーが悲惨でも何となく報われた気分になってしまう不思議・・・。