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ただ本を読んでいるだけなんです

図書館と活字をこよなく愛する地味主婦の読書メモ

失った感覚を補う、研ぎ澄まされた能力よ!

見えないからこそ違和感ビンビン!!(゜ロ゜ノ)ノ

闇に香る嘘

闇に香る嘘

記念すべき第60回江戸川乱歩賞受賞作品。
著者はなんと、わたくしより1個上。同世代‼
2006年から毎年応募し落選を繰り返しての受賞というから素晴らしいです。
すでにドラマチック。

内容もいかにも江戸川乱歩賞が好みそうな、正統派社会的ミステリーです。
初の受賞作とは思えない、文章の運びもプロってると思いました。

主人公村上和久は40代で視力を失った男やもめ。
娘とは微妙な距離があり、腎臓病を患う孫娘がいる。娘に見放されてる感が強まるなか、せめて片方の腎臓をプレゼントしようとしたものの、長年の不摂生から使い物にならんと言われてしまう…
娘との溝はますます深まるばかり。
いいとこ無さすぎな、リアル疲れたオッサンがこの腎臓をめぐり自分の家族の謎に迫る話。

中国残留孤児をテーマにしており、それを目の見えない主人公が謎解きするという斬新な作りです。
どっかの映画賞にある『ある視点賞』を差し上げたいくらい👀

中国残留孤児として何10年ぶりかに再開した兄はなんだか別人のようで、弟の和久はずーとモヤモヤ。それをはっきりするため、そして娘との溝を埋めたいと願い実家にいく。
実の兄なら孫娘の腎臓移植に賛同してくれるはず。
でももし拒否したなら、それはーなにか隠している証拠である👣👣🔎
ところがなんとお兄ちゃん、まさかの拒否!
怪しい…ものすごーく怪しい・・・再会したときからの違和感を確信にしつつある和久。
ここから和久の、辛く孤独な謎解きが始まるのでした👀🔎

この作品の特徴はズバリ!盲目の主人公=活字でしか作中の風景が見えない読者とをシンクロさせているところでしょう。
なかなか高度なテクニックだなぁと感心しました👏

そして書き方も品がよく、中国残留孤児の悲惨さや戦時中の人の鬼畜っぷりもグロさも、程よい距離感を保って書かれているのがよかった。
でも次は多少のお下品さも含んだ、別面の下村作品も読んでみたいかも(笑)

ミステリーの核でもある伏線もバランスよく張られてるから、盲目の読者(笑)でも終盤に向かうにしたがって紐解くように回収できる✨✌
ミステリーなんだけど人が死ぬのがメインじゃない、人との繋がりを大切にしたいと改めて感じさせてくれること間違いなし😌👍

イヤミスばかり読んでいたわたくしの心に、温かな灯りをともしてくれた1冊です😊